アドボカシーマーケティング

アドボカシー・マーケティング 顧客主導の時代に信頼される企業 (ウォートン経営戦略シリーズ)

アドボカシー・マーケティング 顧客主導の時代に信頼される企業 (ウォートン経営戦略シリーズ)

企業と顧客の力関係は、インターネットの登場によって完全に逆転した(中略)企業の評判も悪評も即座に広めて、企業の命運に強い影響を与える。そこで提唱され始めた新たなコンセプトが「アドボカシー(支援)」である。完全に一時的には自社の利益に反するようなことでも、顧客にとっての最善を徹底的に追求することで、長期的な信頼を得ようという考え方だ。

たとえ競合他社のサービスを薦めてでも顧客にとっての最善を考えて行動することで信頼を得れば、あとからより大きなリターンが得られるという考え方らしい。まさにビジネススクールの授業に出てきそうな事例がいくつか取りあげられていて、それっぽく説明してある。

商品の種類によって意味が大きく変わってくる戦略だと思った。どちらかというと、単価が高くて定期的に買い換える必要のある商品に向いている。単価が安くてしかもスイッチングコストもほぼない商品で競合の商品を薦めることはできないだろう。

ある程度大きな規模で消費者との再接触の機会を確保できる企業がアドボカシーマーケティング戦略を採用するのは問題ないのかもしれないが、小さな会社でこの戦略を採用したら潰れそうだ。


「このとき、私はどのような体験をしたかったのか」
「私はどのような情報を求めていたのか」
「私は顧客として、どのように扱ってもらいのか」
「どうすれば、今よりもっと早く、もっといい結論を出せるのか」

上記の点を踏まえて、自社商品や競合他社の商品を使うことで顧客の立場になってみるということが、アドボカシーマーケティング戦略に必要だと書かれていた。顧客と同じように行動したり、購買プロセスを考えたりすることは定期的に行っていかなくてはいけないなと感じた。たまにそういうことをしないと、顧客がどんな価値を求めて自社の商品を使ってくれるのかわからなって一人よがりな商品を作ってしまいかねない。特に競合が違う価値を提供して顧客を集めだしたことに気づかないことは致命的になりそう。